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経営者が知っておきたい豆知識。 (第32回 法人保険の出口戦略【パート1】)

法人保険の出口戦略【パート1編】

〜生命保険は「加入すること」より「出口」が重要です〜
法人保険を検討する際、多くの経営者が気にされるのは「どの商品に加入すればよいのか」「保険料はいくらか」「解約返戻率はどの程度か」といった点ではないでしょうか。
もちろん、これらも重要です。しかし、法人保険を有効に活用するためには、加入時の商品選び以上に「出口戦略」が重要になります。
出口戦略とは、簡単にいえば「将来、保険契約をどのように終わらせ、受け取った資金を何に活用するのか」という計画です。
例えば、役員退職金の原資として保険に加入したケースを考えてみます。
経営者が10年後に退職する予定であれば、その時期に合わせて解約返戻金を受け取り、役員退職金の支給原資として活用する方法があります。
しかし、実際の退職時期と解約返戻率のピークが合っていなければ、想定していた効果を十分に得られない可能性があります。
また、経営者が予定していた時期に退職しなかった、後継者が決まらなかった、会社の業績が大きく変化したといったことも考えられます。

 

法人保険は長期間にわたる契約です。その間に会社の経営環境が変化することは決して珍しくありません。
さらに注意したいのが、保険を解約した際の税務上の取扱いです。
法人が解約返戻金を受け取った場合、その全額が必ずしもそのまま利益になるわけではありません。
一般的には、受け取った解約返戻金から、それまで資産計上していた保険料等の帳簿価額を差し引いた金額が、益金または損金として処理されます。
一方で、全額損金で処理していた保険の場合には、保険料を費用として処理しているため、解約時に差し引く帳簿上の資産が基本的にありません。
そのため、解約返戻金を受け取った際には、原則として返戻金の大部分または全額が益金として計上されます。
つまり、加入時に保険料の損金算入効果だけを見ていると、解約時に想定外の利益が発生し、税負担が生じる可能性があります。
法人保険は、加入時の税務効果だけでなく、解約時にどのような収益・税負担が発生するのかまで見据えて設計することが重要です。

 

例えば、役員退職金の支給、設備投資、事業承継、自社株対策など、会社によって資金を必要とする時期や目的は異なります。
解約返戻金による利益が発生する時期と、会社の支出が発生する時期を適切に設計することが、法人保険活用の重要なポイントになります。
また、「解約返戻率が高いから」という理由だけで商品を選ぶことにも注意が必要です。
どれだけ返戻率が高い商品であっても、会社が資金を必要とする時期と返戻率のピークが合っていなければ、自社に適した保険とはいえません。
重要なのは、「最も返戻率の高い商品」を選ぶことではなく、「自社の経営計画に最も合った商品」を選ぶことです。
法人保険は、単なる保障や節税のための商品ではありません。
役員退職金、事業承継、自社株対策、将来の設備投資、万一の際の事業保障など、さまざまな経営課題に活用できる経営資源の一つです。
だからこそ、加入すること自体を目的にするのではなく、5年後、10年後の会社の姿を想定しながら、「いつ」「何のために」「どのように活用するのか」を考える必要があります。

■ まとめ

法人保険で重要なのは、「どの商品に加入するか」だけではありません。
加入時にどれだけ税務上のメリットがあったとしても、出口戦略を考えていなければ、本来期待していた効果を十分に得られない可能性があります。
経営者の退職時期、会社の利益状況、事業承継、自社株対策、将来の資金需要などを考慮し、解約返戻金をいつ、何に活用するのかまで設計することが重要です。
保険は「加入して終わりの商品」ではありません。
将来の出口まで見据えて設計し、適切なタイミングで活用することで、初めて会社の経営資源としての価値を発揮するといえるでしょう。

 

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