新着情報詳細

新着情報詳細

経営者が知っておきたい豆知識。 (第21回60歳以上の経営者が押さえておきたい「在職老齢年金」基礎知識編)

65歳を過ぎても現役で会社を経営し続ける方は少なくありません。そうした中で、「在職老齢年金」は経営者にとっても重要な制度です。これは、老齢厚生年金を受給しながら働いている場合に、報酬水準によって年金の一部または全額が支給停止となる仕組みです。
令和7年度の在職老齢年金の支給停止基準額は51万円です。この金額は、「標準報酬月額(注1)(役員報酬や通勤手当など)」と、「老齢厚生年金(注2)の基本月額(報酬比例部分)」の合計で判定されます。これらの合計額が51万円を超えると、その超過分の1/2が老齢厚生年金から減額されます。なお、老齢基礎年金(注3)はこの制度の対象外であり、減額されることはありません。
たとえば、役員報酬が月40万円、老齢厚生年金の基本月額が12万円の場合、合計は52万円となり、支給停止基準の51万円を1万円上回ります。その超過分1万円の1/2である5,000円が年金から減額され、実際の支給額は115,000円となります。なお、役員賞与については注意が必要です。賞与といっても、事前確定届出給与として支給される役員賞与は、社会保険上の「標準報酬月額」には該当しません。このため、賞与は月々の報酬としては取り扱われず、高額な賞与であっても、月額報酬ベースでの支給停止の判断には直接的な影響はありません。つまり、賞与は月額報酬とは別枠で扱われ、あくまで「年ベースで分割加算」される仕組みのため、支給停止に与える影響は月給と比較して緩やかです。高額な賞与が一時的に支給されたとしても、それが直ちに支給停止額を大きく引き上げるわけではないという点で、「影響しない」と表現しています。
在職老齢年金の制度上、賞与については「標準賞与額注4として別途カウントされ、過去1年間の賞与を12で割った金額が『総報酬月額相当額』として支給停止判定に反映されます。ですが、賞与の金額が大きい場合や、年複数回支給されるようなケースでは、月額報酬と合わせた総報酬ベースで支給停止の影響を受ける可能性があります。
また、65歳以降に受け取る老齢厚生年金については、繰下げ受給を選択することで最大42パーセントまで年金額を増額することが可能です。ただし、繰下げ期間中に在職していて年金を支給停止された月は増額の対象月としてカウントされないため、注意が必要です。
経営者の場合、報酬額の設定や退任時期を柔軟に調整できる立場にあるため、制度の内容を正しく理解した上で戦略的に対応すれば、将来の年金受給をより有利に運用することができます。資金繰りや生活設計にも関わる重要な要素となるため、税理士や社会保険労務士などの専門家と相談しながら、最適な選択を検討することが望まれます。
注1:標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料や年金額の計算に用います。 現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれ、 報酬月額は通勤手当等を含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与の額も含めて決定されます。
注2:老齢厚生年金とは

厚生年金保険に加入者が、老齢基礎年金の受給要件を満たした場合に原則65歳から老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができる年金です。厚生年金保険に加入していたときの報酬額や、加入期間等に応じて年金額が計算されます。
注3:老齢基礎年金とは
老齢基礎年金は、国民年金に基づくもので、20歳から60歳までの間に保険料を40年間(480か月)納めた場合、満額が支給されます。2025年度の満額は月額69,308(年額831,696円)です。老齢基礎年金は在職老齢年金の減額対象外であり、働きながらでも満額を受け取ることができます。なお、保険料の免除期間がある場合は、その分年金額が減額されます。
注4:標準賞与額の上限は、厚生年金保険については150万円が上限となりますので、例えば300万円の賞与でも150万円として計算されます。ただし支給回数が年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象となりますので注意が必要です。

【参考情報】
・日本年金機構「在職老齢年金のしくみ」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
・生命保険文化センター「在職老齢年金とは」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1129.html
・日本年金機構「令和7年4月分(6月13日(金曜)支払分)からの年金額(老齢基礎年金)」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202504/040102.html

CONTACTお問い合わせ

お電話またはお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。