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経営者が知っておきたい豆知識。 (第29回 労務管理のトラブル事例編パート②)

労務管理トラブル事例【パート2

~未払い賃金はいくらになるのか。法定時間外として計算した実額と時効の根拠〜

パート1では、休憩時間が実質的に取れていないケースや、朝礼・準備時間が勤務時間外として扱われているケース、短時間のサービス残業が常態化しているケースを取り上げました。

これらが法定上「労働時間」と評価された場合に、実際にどの程度の未払い賃金が発生するのかを、割増賃金を含めて整理します。

以下のモデルケースによる未払い賃金の試算は、労務リスクを分かりやすく示すことを目的としたものであり、個別事案の未払い額を確定するものではありません。なお、本稿では、朝礼・休憩不取得・短時間のサービス残業等が、すでに法定労働時間(18時間または週40時間)を超過しているケースを前提として、時間外割増賃金(25%)を加算して算定していますが、実務上は所定外労働と法定時間外労働が混在する場合もあるため、時間単価や割増の要否は、賃金規程および勤務実態に応じて個別に判断されます。

 

■ モデルケース(前提条件)

月給(総支給額):約35万円
所定労働時間:月160時間
時間単価:35万円 ÷ 160時間2,190

本稿では、朝礼・休憩不取得・サービス残業による労働時間が、法定労働時間(18時間・週40時間)を超過している=法定時間外労働に該当する前提で試算しています。そのため、時間外割増賃金(25%)を加算しています。

 

■ 未払い賃金の具体例

① 始業前の朝礼10

10分 × 20営業日 = 約3.3時間/月 = 未払い賃金:約9,000円/月

② 休憩時間が実質30分不取得

30分 × 20営業日 = 10時間/月 = 未払い賃金:約27,000円/月

③ 毎日15分のサービス残業

15分 × 20営業日 = 5時間/月 = 未払い賃金:約13,700円/月

これらが同時に発生した場合、未払い時間は月18.3時間、未払い賃金は約50,000円/月となります。

年間では約60万円に達し、決して軽微な金額ではありません。

 

■ 複数人・複数年に広がるリスク

未払い賃金の請求権は、現行法上、過去3年分まで遡って請求可能です。

仮に1人あたり月5万円の未払いがあれば、3年で約180万円となります。

同様の運用が5人いれば、約900万円規模の支払いリスクになります。

 

■ 未払い賃金請求権の時効

労働基準法第115条では、賃金請求権の消滅時効は5年と定められていますが、附則により当分の間は3年とされています。

このため、未払い賃金(残業代を含む)は、賃金支払日の翌日から3年間請求可能です。

 

■ 経営者が誤解しやすい点

「短時間だから」「本人も納得している」「忙しい日だけ」といった事情は、法的にはほとんど考慮されません。判断基準は一貫して、会社の指示・管理下にあったかどうかです。

 

■ 補足(法定労働時間の判定について)

本稿の試算は、対象となる時間が、すでに法定労働時間(18時間または週40時間)を超過している時間帯に発生しているケースを前提としています。

実務上は、所定外労働と法定時間外労働が混在する場合もありますが、割増賃金の対象となるのは、18時間超または週40時間超の部分に限られます。

本稿はリスクを分かりやすく示すためのモデルケースであり、個別事案では日別・週別に判定したうえで算定が必要です。

 

■ まとめ

朝礼、休憩不取得、短時間のサービス残業といった日常的な慣行でも、労働時間として評価されれば、時間外割増賃金の支払い対象となります。
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日単位では小さな時間でも、月・年・人数・年数が重なることで、数百万円規模の経営リスクへ発展します。パート1の事例に心当たりがある場合は、実態に即した勤怠管理の見直しが、最も現実的かつ有効なリスク対策といえるでしょう。

 

 

 

 

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