経営者が知っておきたい豆知識。 (第27回 企業型DCの導入デリットと留意点編)
企業型DCは利点の多い制度ですが、運営や制度調整の観点から注意すべき点も少なくありません。「導入した後」に困るケースが多いため、メリットだけで判断せず、デメリットも理解したうえで制度設計することが重要です。ここでは主な5つの注意点を整理します。
デメリット1:運用リスクを従業員が負担する
もっとも大きな特徴である「運用は個人任せ」という点は、同時にリスクでもあります。元本割れの可能性があるため、投資教育が不十分なままだと、従業員が運用を放置し制度が形骸化します。教育が継続的に実施できない企業では、満足度が伸びないことも多く、制度が十分に活用されません。
デメリット2:関係機関が多く、事務が予想以上に複雑
運営管理機関、資産管理機関、給与システムなどが関与するため、手続きが複雑になりがちです。特に選択制DCの場合は給与控除との連動が必要になり、毎月のデータ管理が発生します。小規模企業では総務や経理担当に負荷が集中しやすく、導入後に手間の多さを実感するケースが少なくありません。委託範囲を明確にすることが重要です。
デメリット3:既存の退職金制度との整合性調整が必須
中退共と併用する場合や社内退職金規程がある場合は、制度間で給付が重複したり、逆に減額感が生じたりする可能性があります。加入範囲、勤続年数の扱い、再雇用者への適用などを調整する必要があり、就業規則全体の見直しを伴うケースも多くあります。部分的に導入すると、かえって複雑化する場合もあります。
デメリット4:制度が従業員に理解されにくい
DCは仕組みがわかりにくく、従業員が制度を理解するまで時間がかかることがあります。運用商品、リスクの考え方、税制メリットなど、説明事項が多いため、企業側が丁寧なコミュニケーションを行わないと制度が浸透しません。説明の不足は不満や誤解を生み、制度の評価を下げる可能性があります。
デメリット5:導入後の継続運営に手間がかかる
制度は導入して終わりではなく、毎月の掛金処理、加入・喪失手続き、従業員の質問対応、教育の実施など継続的な運営が必要です。後から担当者が変わるとノウハウが引き継がれにくい点も課題となります。
まとめ
企業型DCはメリットの大きい制度である一方、運営の手間や制度調整の課題を理解せず導入すると、後から問題が生じやすい仕組みです。ポイントは、導入後の運営を十分に想定し、自社の体制に合う形で制度を構築することです。メリットとデメリットを踏まえて設計すれば、企業と従業員双方にとって価値ある制度として機能します。